こんにちは、市立函館病院 初期研修医の渡邉颯樹と申します。
この度は4週間の地域研修を受け入れていただき、誠にありがとうございました。ご指導いただいた先生方をはじめ、コメディカルの皆さま、そして地域で関わらせていただいた皆さまに心より感謝申し上げます。
私は東京都出身で、有名な目黒川の桜は自宅から徒歩10分で見ることができ、毎日渋谷を通って通学するような環境で育ちました。北の大地への憧れから大学進学を機に北海道へ渡り、初期研修は縁あって函館で行うこととなりました。
今回木古内での地域研修を選んだのは、一つ上の先輩から「すごく良かったよ」と勧めていただいたことがきっかけでした。研修内容は大して聞かずに、他の地域の研修病院との違いも把握せずにその言葉だけで研修先を決めましたが、正直なところ木古内については新幹線の駅があることと道の駅の塩ソフトがおいしいことくらいしか知りませんでした。函館から車で40分程度しか離れていないということで車通勤を選択する研修医も多い中、私はほぼペーパードライバーということもあり、実際に一ヶ月間木古内で生活しながら研修を行うことで、この地域ならではの医療や人の温かさに触れることができました。
研修では、外来診療や病棟管理、救急対応に加え、訪問診療・看護・リハビリテーション、救急車同乗実習、木古内町ケア会議への参加、産業医の同行など、院内外を問わず様々な経験をさせていただきました。
木古内国保病院では外来、救急、入院診療など幅広い医療が行われており、決して「何もできない場所」ではありませんでした。しかし一方で、すべてを病院内で完結できるわけではなく、どこまでこの病院で対応するのか、どのタイミングで高次医療機関へつなぐのか。その判断の重要性を強く感じた一ヶ月でもありました。
普段の市立函館病院の研修では院内でしか働きませんが、木古内では院外に出る機会もたくさんありました。
特に印象に残っているのは、訪問診療と木古内町ケア会議です。
訪問診療では、患者さんのご自宅で実際の生活環境を見ることができました。病院で診療しているだけでは分からない情報がたくさんあり、「生活の中で医療を行う」ということを実感しました。また、私には何気ない世間話に聞こえていた会話の中から、指導医の先生が患者さんの生活状況や体調の変化に関する情報を自然に引き出されており、何度も驚かされました。
市立函館病院では研修医は主に救急外来しか外来診療に携わる場がないのですが、検査が比較的容易に行える環境だからこそ、すぐに検査結果に飛びついてしまいがちです。迅速な判断を要求される場でもあるため、救急外来という特性上は仕方がないことだとは思いますが、診察室で得られる情報だけが患者さんの情報ではないことを改めて学びました。
訪問先では、見ず知らずの研修医が突然お邪魔したにもかかわらず、どの患者さんも優しく受け入れてくださいました。日々の生活のお話を聞かせていただいたり、ときにはリハビリメニューのスクワットを一緒に行ったりしながら、診察室の中だけでは得られない貴重な経験をさせていただきました。訪問先の皆さまとの交流は、学びが多いだけでなく、とても印象深く、温かい時間になりました。
温かく迎えてくださった皆さまに心より感謝申し上げます。
木古内町ケア会議では、病院関係者だけでなく施設職員や行政の方々など多くの職種が参加していました。当初は病院内カンファレンスのようなものを想像していましたが、実際には「地域で生活する人をどう支えるか」を皆で考える場でした。医療的な課題だけでなく、その方が今後どのような生活を送りたいのか、地域で安心して暮らし続けるためにはどのような支援が必要なのかという視点で話し合いが行われていたことが印象的でした。
病院だけでなく、地域全体で患者さんを支えていることを実感できた貴重な体験でした。
木古内で過ごした4週間(実際にはGWもあり、体感としては驚くほどあっという間でした)は、地域医療について学ぶだけでなく、自分自身の診療のあり方を見つめなおす機会にもなりました。先生方やスタッフの皆さまには診療だけでなく、手技や処置、日々の考え方に至るまで丁寧にご指導いただき、本当に感謝しております。また、患者さんや地域の皆さまにも温かく接していただき、毎日楽しく研修を行うことができました。
今回の経験を今後の診療に活かしながら、一人の医師として成長していきたいと思います。
4週間本当にありがとうございました。


