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研修医体験記

■はじめに

この度はお忙しい中、4週間の研修を受け入れいただきまして誠にありがとうございました。ご指導くださいました先生方をはじめ、コメディカルの皆さま、地域で関わらせていただいた皆さまにも、心より感謝申し上げます。

自分は北海道・十勝地方の幕別町の出身で、畑と牛に囲まれた環境で育ちました。大学の6年間は札幌で過ごし、初期研修先として札幌や地元以外の「第三の場所」で、新たな視点を得て幅広く研鑽を積みたいと思い、市立函館病院を選択いたしました。

地域研修で木古内町を選んだ理由として、よく名前を耳にする町である一方で、その雰囲気や医療の現状について詳しく知らなかったからです。百聞は一見に如かず、という言葉の通り、机上の情報ではなく、現地で直接見て感じる経験が何より貴重なものと考えていました。また、本年度から木古内国保病院での地域研修が始まったと伺い、これまでの先輩方が経験してこなかった新たな道を歩けることにも、大きな魅力を感じていました。

■実際の研修

4週間の研修では、院内院外関わらず、多くの学びの機会をいただきました。

院内では救急対応や入院患者さんの対応のほか、発熱外来や予約外受診の患者さんの診療など、幅広い業務に携わらせていただきました。院外の研修では訪問診療や産業医の巡回への同行に加え、消防署での救急車同乗研修など、通常勤務では得られない体験を重ねることができました

今回の研修には、いくつかの目標を持って臨みました。

1つは「地域医療の現状を自分ごととして理解する」ことです。これまでは医師になりたてということもあり、業務に慣れてそれをこなして行くので精一杯となっていて、医療体制のことや課題に関して深く考えたことはほとんどありませんでした。しかし今回、訪問診療の車内や外来の合間などでスタッフの皆さまとお話しさせていただく中で、限られた医療資源でどのように連携し、地域の医療を支えているのかを肌で感じることができました。紙の資料や統計を眺めるだけではわからないリアルに触れて得たものは、今後の自分にとって大きな財産になると考えています。

もう1つは外来診療を通して、「患者さん一人ひとりの気持ちに丁寧に向き合う」ことです。医師として働き始めたばかりの頃は、どうしても診断と治療に集中して、人と人とのつながりや信頼関係の大切さにまで意識が回らない場面もあったように思います。今回研修させていただくにあたり、地域で生活する方々にとって、医療がどのような存在であるのかを考えながら診療にあたるように努めてきました。病める人に寄り添う医療を実現するには、患者さんの背景や思いに耳を傾ける姿勢が大切であると改めて気づくことができました。診療に時間がかかってしまうことが多く、ご迷惑をおかけした場面もございましたが、初心を思い出しながら診療に向き合うことができ貴重な時間を過ごすことができたと思います。

■おわりに

今回の木古内町での研修を通して、地域医療の魅力や、医療における人と人とのつながりの大切さを改めて実感いたしました。皆さまに温かく迎えていただき、非常に実りある4週間を過ごすことができました。

今後も今回の学びを胸に、医師として、そしてひとりの人間として成長し続けられるよう、日々精進してまいります。

この度は本当にありがとうございました。

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